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成熟社会に行かないと  本当に

10月にお亡くなりになった天野祐吉さんの「成長から成熟へ」を読んだ。たくさんの広告に左右されながら生きている私たちに、「ちょっとまって」「もう少しよく考えて」と釘を刺されたような思いである。

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プロローグ「世界は歪んでいる」が面白い。

その1 ここ10年マスク人間が増えている。それだけ空気が汚れているのか。

その2 日本には原発が54基もある。普通じゃありません。アメリカ、フランスに次いで第三位の多さ。

その3 テレビショッピングというけったいな番組の横行(テレビショッピングはCMでないので制限がないようだ)

その4 福袋ブーム。買うものがないから福袋を買うという。(買ったことのない小生は同感である)

その5 リニア中央新幹線なんて本気でつくろうというのも、普通の感覚ではない。(同感である)

以前にも記したが、天野さんのコラムにこんな文章がある。(前略)

 60年代のアメリカにこんな広告があったのを思いだした。

 自宅の庭に置かれた2台のクルマ。フォルクスワーゲンと古いA型フォード。その間に立つ長身の老人。「この人は33年ぶりに新車を買いました」というコピー。

 それによると,78歳のアルバート・ギリスさんは、1929年のA型フォードと33年間もうまくつきあってきた。が、とうとう新車が必要になり、フォルクスワーゲンを買った、という。

 当時のアメリカは豪華さや新奇さを競い合う派手な新車合戦のさなかである。そんな中であえてこの人は地味だが誠実そうなフォルクスワーゲンを,これからの長いつきあい相手として選んだという話である。

 ところで、昔から僕は,自分の足になじむ靴がなくて苦労している。で、仕方がないから,靴になじませている始末だ。

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 この文章の広告が本に掲載されていた。「VWのこちら変えていません。こちらは変えています」という広告に驚いた。中味の熟成である。(人間も同じ?)

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欧州車は、モデルチェンジをしても、どこから見てもVWとかBMWという理由がよく分かる。それにしてもすごい広告。日本ではあり得ない。

特に最近の日本は、新しいモノが善で古いモノは悪、変えることが善で、変えないことが悪のような雰囲気がある。1960年代の広告も面白かった。

 「人間」らしくやりたいナ 

 トリスを飲んで「人間」らしくやりたいナ

 「人間」なんだからナ

物や金の豊かさだけに振り回されている当時の社会にぶつけた怒りのような広告である。広告を見るとその時代の様子が手に取るように分かるようだ。

「おわりに」の文章には、強く感銘を受けた。

8.15で成長社会が始まり、3.11で成長世界から成熟社会への転換が始まるという、この二つの日付は,僕にとってもこの国にとっても大きな転換点になりました。

 が、3.11を契機とするこの国の再生は、まだ遅々としてすすまない。それは災害地の復旧だけではありません。日本そのものの再生も,うやむやになっている。それどころか、いまの政権は、3.11以降の日本の再生ではなく、3.11以前の日本を再生しようとしているように思えます。・・・・

別品。

いいなあ。経済力にせよ軍事力にせよ,日本は一位とか二位とかを争う野暮な国じゃなくていい。「別品」の国でありたいと思うのです。

と締めくくっている。「天野さん、ゆっくりお休みください。」と言いたい。

 

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