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生きとし生けるもの 末永く元気で

大学生の直弘君と大学教授がメールと手紙のやりとりを通して、「人が生きるとは」を深く考えさせる「心」を読んでみた。

親友を亡くして悩む学生直弘君。直弘とは、作者姜尚中さんの息子の名前でもあるという。1週間ほど前のテレビでも放映されていたが、姜さんの息子さんは、4年前に25歳で亡くなったという。

Kokoro

この本には、東日本大震災のことも記されている。直弘君は、遺体の捜索に携わり、生死について深く考えるようになっていく。その気持ちを教授に伝える。正直に、素直に伝えていく。友人や好きになった萌子との交流を通して直弘君は成長していく様子が描かれている。

直弘君が仲間と共に演じた劇でこう言う。

「だから、僕は今考える。彼らの人生の営みがそうであったように、人間は自然に逆らって生きてきた。科学もそうだ。技術もそうだ。経済もそうだ。個人の人生もそうだ。愛もそうだ。この宇宙の中で人間だけが特別で、この自然にありとしあるものすべて人間がコントロールできると考えてきた。そして、それこそが「叡智」だと考えてきた。それがこの社会、この宇宙の幸福をつくると考えてきたのだ。だから、こんな悲劇に・・・なったんだ。いや・・・」

さらにこう言う。

「僕は生きている、なんてうれしいことだろう、なんて素晴らしいことだろうと思います。これはきっと亡くなった方から力をもらっているのです。(中略)僕が「生きる力」をもらえば、その方の「死」も輝く、その方の死が輝くような永遠になるのだって。」

最後に、姜さんはこう言う。

「生きとし生けるもの、末永く元気で」は長男・直広さんの残した最後の言葉だ。この言葉は、あの大震災で亡くなった方々、そして原発事故で絶望や流離の果てに亡くなった人々への遺言でないかと・・・

本作のタイトルの元となったのが夏目漱石『こころ』だという。ベストセラーとなった「悩む力」にも、漱石のことが詳細に記されていたのを思い出す。

人間は誰でもいろいろな悩みを抱えながら生きていく。人には言えないことの一つや二つは誰でも抱えている。時々、真剣に自らの生き方を振り返り、命について考えることは、真に生きる上で大切だと思う。こんなことを真剣に考えさせてくれる一冊だった。

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